アドブルー/AdBlue(尿素水)って何? 次世代ディーゼルエンジンに必要不可欠なアドブルー/AdBlue
- kenzii
- 2021年5月26日
- 読了時間: 6分

年々厳しくなるディーゼルエンジンの排出ガス規制に対し、自動車メーカーは様々な対策を施して規制をクリアさせています。排出ガスを浄化させる方法はメーカーによって多種多様ですが、トヨタや欧州の自動車メーカーは「尿素SCRシステム」という装置を使うことによりディーゼル排出ガスを浄化させています。
「尿素SCRシステム」とは、ディーゼルエンジンが排出する窒素酸化物(NOx)を浄化するシステムの名称であり、その原理を簡単に説明すると、有害物質である窒素酸化物(NOx)をアンモニア(NH3)と化学反応させることで、窒素酸化物(NOx)を大気に無害な窒素と水に分解し排出させるものです。
尿素SCRシステムに補充するのはアドブルー/AdBlue(高品位尿素水)じゃなくて、アンモニア水じゃダメなの?と思った方もいるでしょう。しかし、アドブルー(高品位尿素水)ではない普通のアンモニア水には特有の強い刺激臭があるうえ、気化すると可燃性の気体になってしまう特性があるため、熱を多く発生させるクルマに補充すると運行上の危険が伴ってしまい安全上の理由から使えません。
一方、尿素SCRシステムに補充するアドブルーは無色・無害の液体なので危険性がありません。尿素SCRシステムでは、アドブルーを高温の触媒内に噴射することでアドブルー(高品位尿素水)自体を加水分解させ、それにより発生したアンモニアガスにより窒素酸化物(NOx)を分解しているんです。触媒内だけで一連の分解が完結されるため、危険性や刺激臭を発生させることもなく、アンモニアを使用した窒素酸化物(NOx)の分解ができるという訳です。
ちなみに、アドブルー(AdBlue)とは尿素SCRシステム専用の高品位尿素水のことですので、尿素水=アドブルーという訳ではありませんので気をつけてくださいね。尿素SCRシステムに補充して良いのはアドブルー(AdBlue)の記載がある高品位尿素水のみです。尿素SCRシステムは、トヨタの次世代クリーンディーゼルエンジンであるGD型エンジン全てに採用されており、ランドクルーザープラド150、ハイラックス、そして2017年11月22日以降に発売されたハイエースバン等に搭載されています。さて、尿素SCRシステムにアドブルー/AdBlue(高品位尿素水)が必要な理由は分かっていただけたと思いますが、取り扱いをする上で気を付けなければいけないことが何点かありますので、これから詳しく説明させていただきますね。
尿素SCRシステム付きエンジンを搭載したクルマで気を付けなければいけない事とは?
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)は燃料と同じく消費し、無くなるとエンジンの再始動ができなくなる!
トヨタの次世代クリーンディーゼルエンジンである1GD-FTVや2GD-FTVに採用されている尿素SCRシステムには、アドブルーが必要不可欠であると前述しましたが、具体的にどのようなことを知っておかなければいけないのかを以下にまとめてみましたのでご覧ください。ちなみに、尿素水は化粧品、医薬品や肥料などにも使われている無色・無害の液体なので、取扱いに特別な資格などは必要ありませんよ。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)は走るごとに補充が必要
尿素SCRシステムでは、アドブルーが排出ガスに対して常に散布されるため、燃料と同じように消費されます。低燃費、ハイパワー、クリーンな排出ガスが魅力的なGD型エンジンですが、従来のエンジンに比べて補充するものが増えるため、面倒に感じる方もいるかもしれません。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)はおよそ1,000km走るごとに1L消費する
走り方にもよりますが、アドブルー1リッターあたりで走れる距離はおよそ1,000km前後です。ランドクルーザープラド150のアドブルータンク容量は12L、ハイラックスは13L、ハイエースバンは7.4Lとなっています。この中でもハイエースバン(標準ボディ・ワイドボディ共通)は特に容量が少ないので、こまめな補充が必要になります。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)が無くなるとエンジンがかからなくなる
車種によってアドブルーのタンク容量は変わってきますが、たとえばランドクルーザープラド150の場合ですと走行可能距離が約5,000km以下になると、警告灯・警告メッセージが点灯するようになっています。走行中にアドブルーの残量が無くなってもそのまま走り続けることは可能ですが、その状態で一度エンジンを切ってしまうと再始動ができませんのでご注意ください。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)は凍ることがある
尿素水は水と同じように結晶化してしまう特性があります。しかし、尿素水の凍結温度は、約マイナス11度と低めです。そして、もし尿素水(アドブルー)が凍結してしまったとしてもエンジンがかからないという事はなく走行は可能です。さらに、エンジンが始動すればヒーターがアドブルーを解凍しますので、溶けた時点からアドブルーの噴射が再開される仕組みになっています。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)はカー用品店やガソリンスタンドでも購入可能
最近は尿素SCRシステムを搭載しているクルマが増えてきたこともあり、アドブルーの販売も一般的になってきました。カーディーラー、カー用品店、ガソリンスタンドでも購入・補充が可能なので、アドブルーの補充で困ってしまうことはほぼありません。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)の補充は自分でもできる
オイル交換時や点検時など、こまめな補充をオススメするアドブルーですが、緊急時には自分で補充しなければいけない場面も出てくるかもしれません。アドブルーはネット通販でも取り扱われており、平均価格は5Lで1500円から2000円前後となっています(2017年12月13日調べ)。エンジンを切り、ボンネット内にあるブルー色のキャップを開け補充口にアドブルーを注ぐだけですが、万が一こぼれたり跳ねたりして部品や人体に付着すると、さまざまな影響を及ぼす可能性があります。なので、補充はできるだけプロショップに任せることをオススメ致します。
もしもアドブルー/AdBlue(高品位尿素水)が部品や身体にかかってしまったら…
自分でアドブルーの補充を行う場合は、アドブルーが補充口からこぼれたり跳ねたりしてしまうことも大いに考えられます。万が一アドブルーが手足等にかかってしまった場合は、すぐに多量の水で洗い流しましょう。もしも目に入ってしまった時には、即座に水道水で15分以上洗い流し、それでも違和感を感じる場合には必ず病院で診察を受けてください。
アドブルー/AdBlue(高品位尿素水)を大量に買って保管することはオススメしない
ネット通販を見てみると、20L容量のアドブルー(尿素水)が安価で販売されています。ですが、尿素水は温度上昇により大きく製品寿命が低下する特性があり、一度外気にさらされたアドブルー(尿素水)は外気温が40度に達すると製品寿命が4ヶ月に縮まってしまいます。常に30度以下で保管することが好ましいアドブルーですが、自宅で保管する場合はなかなかそうもいきませんよね。コストを重視して20L容量の物を買って保管しても、次はいつ補充のタイミングが来るのか分かりません。「アドブルー/AdBlue(尿素水)を保管する」という考え方はやめ、使い切るかあまってしまったら廃棄した方が良いでしょう。
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